2.天鳥の褶曲 (フェニックス褶曲) |
西牟婁郡すさみ町口和深(くちわぶか) |
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あまどりのしゅうきょく、と読みます。皆さん、社会か地理の時間に、褶曲山地と言う言葉を聞いた記憶があると思います。幾重にも堆積した地層が水平方向からの圧縮力を受けて、グニュゥッと曲がりくねるように、うねるように変形することを褶曲といいます。私も、褶曲山地と言う言葉からは正に大きな山と言うイメージを持っていたのですが、この天鳥の褶曲は、例えて言えば、小さな体育館ぐらいの大きさ、少なくとも現状ではその程度の大きさです。しかし、大きなうねりならともかく、ここの褶曲はあまりにもコンパクト過ぎて、岩がどうやってこんなにきれいに折れ曲がるのだろうかと言う素朴な疑問を抱かせます。興味のある人はWEB検索で専門家の意見をチェックしてみて下さい。ま、要は、比較的柔らかい状態で折れ曲がったと言うことのようです。確かに、そう言う風に思わなければ理解しがたいものが目の前に展開します。 |

串本へ向かってR42のこのような所がアプローチポイントとなります。
この右手から海岸へと降りて行きます。一応道らしきものはあります。 |

海岸へ降りると左手に大きな岩の塊が現われます。 |

ここは正に波打ち際なので、ちょうど干潮時でなければ正面に回ることができません。
従って、天候と潮の加減とを十分に見極めないと、せっかくやって来ても肝心な褶曲断面は見ることができません。 |

徐々に正面に向かって回り込んで行くと、世にも奇妙な物が姿を現してきます。 |
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普通、粘土板等の厚みのある物をゆっくり折り曲げると、必ずと言っていいほど曲った部分の外側にヒビが入りますよね。でも、ここではそれが見えません。これって、何故なんでしょうか、素朴な疑問です。高い圧縮力が働く状態と言うのが味噌のような気がするんですが、実際のところどうなんでしょうか。
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中央にメジャーを立ててみました。長さは1mです。 |
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さらに回り込むと、こんなのが見えてきます。 |

正面からの全体像です。足元には波が打ち上げて来ます。 |
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ロールケーキが転がっていました。全部食べるには数年はかかるでしょう。 |

とある岩の表面を見ると、こんなのがありました。まるで古代人の洞窟壁画。なんなんでしょうかねー。岩の地肌から少し盛り上がっていて、周囲よりは堅そうです。 |

何かの化石なんでしょうかねー。興味津々です。 |

洞窟部分の下側です。明らかに左右で地質が異なっています。
堆積時の地層の境界なのか、それとも断層が滑った跡なのか、劇的な違いがあります。 |
帰りは、同じ道を引き返すのは面白く無いので、紀伊半島をグルリと回り込み、新宮からR169・R168と乗り継ぎ、ひたすら北へ向かいます。まさに世界遺産熊野そのものを縦断して行きます。途中、十津川村を通過します。あるいは、御記憶の方もおありかと思いますが、確か2年前、この地方で台風による破滅的な豪雨災害が発生しました。山が動く・山が滑る・滑り落ちた山体が対岸に乗り上げる・ダムができる、そういう信じられないような光景がまざまざと蘇ってくる、それほどの爪痕のオンパレードです。R169・R168と言うのは正にその大災害の真ん中を通過する道路です。現状、至る所で復旧工事が続けられています。その場所場所を通過する度に、如何にその被害規模が甚大だったかを思い知らされる羽目に陥ります。正に、想像を絶すると言うのはこういう状態を指すのだと思います。それにしても、復旧・復興のエネルギーもまたすばらしいですね。安全な暮らし・安定した暮らし、これを取り戻すために何度も何度も自然の猛威と戦い続けて来た十津川村の姿が、そこにあります。 |