3.天井川(旧草津川)
 草津市東草津 Map
天井川って聞いたことありますよね。たぶん、小学校か中学校の社会科の時間に習ったと思います。
天井川とは、大雨の度に上流から土砂が流されてきて堆積して行き、川底がどんどん高くなって、いつの間にやら地上より高い所を流れる様になった、と教えられたのではないでしょうか。
実は、この表現は正解ではないのです。これだと、川自身がいつの間にやら高い所を流れるようになったと言っていますが、どっこい、そんな馬鹿な話はありません。
天井川を造ったのは人間です。 人間が居たからこそ天井川なる奇妙な川が出来上がった訳で、人間が居なかったら、つまり、全くの手付かずの自然の状態であれば、天井川は絶対にできっこありません。水は低い所へ向かってしか流れません。
人間が川のそばに住むようになって以来、洪水による川の氾濫、その後の氾濫対策としての土手の修築、この行為こそが天井川を出現させた張本人なのです。
土手が破られて氾濫する⇒以前よりも高く強固な土手を修築する⇒さらに大規模な氾濫が発生⇒さらに強固な土手をもっと高く修築する⇒・・・⇒・・・⇒いつしか天井川となってしまう。 これなんです。
要するに、川のそばを離れずに人間生活を守るために、流路を変えないように変えないようにと土手の修築工事が連綿として受け継がれてきたことこそが天井川の出現を支えてきたものなのです。
上の写真は、旧草津川の土手下をR8が貫いている状況です。典型的な天井川です。それも、相当な高さです。おそらく、ドライバーの100人が100人とも川の下を潜っているという意識は無いと思います。  ⇒ 現在では撤去されているようだ 
上の写真は、R8から西北に1kmほどの所を走るJR東海道本線のトンネル群です。中央のレンガ製のトンネルは、確信はありませんが、明治時代(あるいは大正)の物でしょう。ということは、その頃既に天井川だったことを伺わせます。つまり、この川が天井川となって行ったのは、江戸時代なのでしょうね。全くの独断的想像ですから、間違っていたらごめんなさいね。
上の写真は、JR東海道本線の真上の様子です。右手の高い建物のさらに右手に草津駅があります。
遠景は、琵琶湖の西側に連なる比叡の山々です。
現在では、川としての機能はほとんどありません。雨が降ったらちょろっと流れるか染み込むかといった状況でしょう。大天井川の成れの果ての姿と言えるものですね。
滋賀県の湖南市や京都府京田辺市・木津川右岸沿いのR24辺りには、現役の天井川がいくつも見られます。
人間の生への執着とはすごいもんですね。