R376は実に快適な道路である。田舎道だが信号はほとんど無く、交通量もしれている。R376を行き着く所まで行くと、周東町でR2にぶつかる。左折。新幹線を潜って2kmほどでR5に左折。道なりに2kmほど北上すると橋を越えて分岐点がある。右折して集落のある方へ。その先で道路が川にぶつかってぐっと左カーブすると秀麗なアーチが否が応でも飛び込んでくる。このアーチはすごい。これまで2000を越える石橋を見てきたが、こんなきれいな細身のアーチは見たことが無い。何と輪石だけでほぼ半円形を形造っているのである。それも適度に大柄である。壁石というものが無い。よくぞ壊れないものだと我ながらあきれるほど感心してしまう。壊れないと理屈では割り切っていても、この細身のアーチを見ると心配になる。おそらく各輪石一つ一つの形状が完璧に削り出されているのであろう。まるで切れ味の鋭い反りの大きい日本刀を見るようだ。橋面にはさすがに曲がり具合に合わせて階段が築かれている。高欄もアーチ形状に合わせてきれいなアーチを描いている。この高欄があることでアーチの補強をしているのではないかと思いたくなるほどぴったりと決まっている。要石も独特の形状で、大きく下に突き出ている。およそ輪石の厚みの倍の長さである。しかも先端に絶妙な切込みがあって石工のこだわりが伺える。
私は今まで、熊本県津奈木町の“重磐岩眼鏡橋”と天草の“楠浦の眼鏡橋”が最もきれいなアーチだと思ってきたが、このアーチは別格である。いつか青空をバックに撮影してみたいものだ。 |