1.三石跨線水路橋 備前市三石
レンガアーチ(JR山陽本線)
上郡町梨ヶ原からR2船坂トンネルを抜けると岡山県に入る。いくらも下らない所で左手にトンネルを抜けて線路が走っているのが感じられる。かなりの藪だ。線路までは見えない。何かの工場というか、土砂のなんたらというか、そういうのが線路とR2との間に細長く横たわっている。
その一番トンネル側にちらと黒いレンガアーチが見えている。正にチラではあるが。藪の中をためつすがめつ眺めているとどうやらR2側面の傾斜はそれほどでもなく、木々を伝えば何とか降りることができそうだ。結局さほど苦労もせずに降りた。そこには水路がある。エイッとばかり飛び降りる。ジャブジャブと遡ると直ぐに水路橋であることが判明。またジャブジャブと向こう側に渡る。金網伝いに少し下るといいポイントに到達。
なんとまー緻密なレンガの積み方であることか。今までにこれほど緻密な積み方にはお目にかかったことが無い。全面焼過レンガ。それがびっしり。7重アーチというのもすばらしい。欠円アーチである。陽の光を浴びてまるで牛蛇のうろこの輝きである。エナメル質の光沢。あまりにも整い過ぎている感じはするが、とにかくすばらしいことに変わりは無い。
2.小屋谷川橋梁 備前市三石
レンガアーチ(JR山陽本線)
さらに下る。すると三石駅の下ともいうような所に線路を潜って谷川が流れ下っている。そこにレンガアーチ及び壁石が見えている。中に入ると少し登り勾配になっている。そしてその勾配を打ち消すようにレンガアーチに段差が付けられている。全部で4段。久々の段差付きアーチである。記憶が定かではないが、奈良県大淀町で1基、これが2基目あるいは3基目ぐらいだと思う。希少であることに変わりは無い。最後の段を過ぎるとへの字に折れ曲がっている。何とも立体的なアーチ構成である。側壁部には顕著な焼過レンガの線。見事なアクセントとなっている。このアーチは西側はレンガアーチ+切石積み、東側は全てレンガである。東側に抜けた所に、緑色の土木学会の推奨土木遺産である旨の証明板が掛かっている。
3.三石金剛川橋梁 備前市三石
4連レンガアーチ(JR山陽本線)
そして今日のメインである金剛川橋梁。4連レンガアーチである。北側の1連は道路を跨ぎ南側の1連は、川と道路を半々に跨いでいる。高さもアーチ径もずいぶんと大きい。このレンガも実に緻密な積み方である。期待してはいたのだが、すばらしいことに変わりは無いのだが、何かイメージと違う。やはり、あまりにも整った積み方のせいではないかという気がしてならない。やや面白みに欠けるのではないか。岐阜県関ヶ原町の藤古川橋梁のような感動は、残念ながら沸かずじまいであった。下流側に焼過レンガ拡幅である。5重アーチ。水切りは上流側下流側共に切り石による円筒状である。三角では無い。川床には簡単に降りることができる。橋の周辺だけはRC張りで長靴で難無く歩き回ることができる。ここも焼過レンガのアクセントが光っている。上流側には近接して歩道橋が架かっているので景観が台無しである。土木学会で推奨するぐらいならこの歩道橋は架けて欲しくなかったと思うのは私だけか。
4.野道架道橋 備前市三石
レンガアーチ(JR山陽本線)
金剛川橋梁から北側の幼稚園を迂回して西へ向かう。直ぐに住宅団地がある。そこを左折すると正面に小さくレンガアーチが見えている。道路面よりもやや低い位置にあるからかアーチ床面は湿っぽい。向こう側で小さな女の子が遊んでいる。アーチを潜り抜けると、そこは広い運動場になっていて少年野球が行われていた。北側に焼過レンガ拡幅である。ここも焼過レンガのアクセントが光っている。
5.三石避溢橋梁 備前市三石
レンガアーチ(JR山陽本線)
住宅地を西へ向かう。直ぐに左手に大きなレンガアーチがある。水路と道路を跨いでいる。斜交しているのであろう、上面に大きな勾配が付いている。ねじりまんぽにはなっていない。隣の家のPのジャバラの中から犬が人恋しげに思いっきり立ち上がっておねだりをしてくる。頭をなぜてやると、うれしくてどうしようもないという風に身悶える。特別な種類のようで品のよさが伺える犬だ。まずは、ここからパチリ。住宅地を西に抜けR96に出て近付く。同じく北側に焼過レンガ拡幅。ここも焼過レンガのアクセントが光っている。こうして見ると、この焼過レンガのアクセントを考えた人はかなり美的センスを持った人だということが分かる。普通レンガの表面は決して光を反射しないが、焼過レンガの表面はガラス質のようでキラキラと光を反射する。この特性を常日頃何かに活かしたいと思っていたのであろう。実にきれいな半円筒の幾何学的な造詣に加えて焼過レンガのキラキラ直線はしぶい意匠となって正に光を放っている。こういうこだわりは大好きである。先ほどの犬は、まだ私の存在を感じているようで、でも完全に姿は見えない位置関係にあるので、ずっと悶え続けている。
6.三石架道橋 備前市三石
レンガアーチ(JR山陽本線)
避溢橋梁とR96とは正に隣同士である。残念ながらR96の方はレンガではない。関川の交差点を左折して西南へ向かうと、直ぐにこれまた大柄なレンガアーチがある。欠円アーチで、迫石できちんと受け止めている。同じく北側に焼過レンガ拡幅。ここはアーチ内面が白っぽく汚れていて焼過レンガの存在感は薄い。
7.寺前川橋梁
レンガアーチ(JR山陽本線)
備前市三石
そして、そのさらに西隣には南蛮風の凝った門を持つ光明寺というのがあり、その前を谷川が流れ下っている。鉄分が多いのであろう、川床はオレンジ色だ。そこにもレンガアーチがある。オレンジの中に飛び降りるが、内部は途中から水深が深くなり向こう側には行けない。ここも同じく北側に焼過レンガ拡幅。南側には焼過レンガのアクセントが光っている。ちなみに南側に迂回すると、ものすごい藪でアプローチは不可。
こうして、三石駅周辺のチェックを終えたが、わずかな距離の中に実に7基ものレンガアーチがある。上郡周辺も含めると合計11基。その全てが感慨深い特徴を持っており、レンガアーチの博物館と言っても過言ではない。私は詳細は全く知らないが、三石駅の南側に三石耐火煉瓦という工場がある。大きなレンガ煙突が2本ニョキッと建っている。上郡から三石にかけての一連のレンガアーチのレンガはここで焼かれたものだと推察したい。身近に工場があるからこそすばらしいレンガアーチ群を構築できたと考えられる。
10.閑谷学校半池橋
備前市閑谷
26日の続きの吉永駅までのレンガアーチは空振りに終わった。R261を南へ向かう。3kmほど進み閑谷トンネルを抜けると直ぐ左手が閑谷学校への進入路である。少し登って行き学校前のPにバイクを止める。今日は日陰を選ぶ。
北側正面に、若葉を目一杯背景にしてオレンジ色の瓦を乗せた幾棟かの建物が見えている。その前を変わった形の石垣が一直線に区切っている。どうやら、今見えている全体が閑谷学校のようだ。とりあえず、正面に進む。直ぐに細長い濠のような池があり、桁橋が架かっている。高欄は無い。案内板に拠ると半池(はんち、実際はさんずいに半)と言うらしい。
11.閑谷学校南橋
Pから右手の道を進むと青少年教育センターへ行くようになっている。その道の途中に3本桁が架かっている。
12.閑谷青少年教育センター前橋 3径間桁
青少年教育センターの前は、中学生と思われる紫のジャージがあふれるほどたむろしている。その前に水路とも池とも取れるようなのがあり、3径間桁橋が架かっている。RCかなとも思ったが、現代版ピカピカの石桁橋のようである。
21.大内の町橋 備前市大内-香登本  かがともと
霊供養塔を後にして、まずは下山。次の予定の石長姫神社目指して昔の街道風の細道を西へ向かう。すると、左手に白い2本桁が見えて来た。どうと言うことの無い桁橋だが、何となくかなり古そうな雰囲気がある。早速新規のお出ましである。
23.西鶴山天満宮参道橋 備前市畠田
R69を南へ進む。直ぐに左手川向うに小学校が見えて来る。橋を渡った、小学校の入口のような所に山裾にへばりつくようにして神社がある。階段下には形のいい円弧桁橋がある。
24.鶴海の石橋  つるみ 備前市鶴海
3径間桁
瀬戸内市に別れを告げて、R39を北に向かう。やがて備前市鶴海地区へとやって来た。地区中心部のR391本北側に細道がある。そのさらに北側には川が流れている。そこに3径間桁橋が架かっている。落ちないようにしっかりつかまって腕を目一杯伸ばしてかろうじて裏側をパチリ。石桁が写っていた。オリジナルは少し幅が狭かったようである。
2017.04.29(土)晴 岡山の石橋探訪の旅3回目。格段に陽が長くなり、初夏を思わせるような陽気である。
26.天津神社参道橋 備前市伊部  いんべ
過去2度の探索でR2周辺の土地勘が養われて来た。既知情報以外に何かないかと最近すっかり慣れて来たストリートビューで探っていると。あった。当然のことだが全く同じ光景がそこに。
27.伊部の町橋
天津神社を後にして次に進む。NAVIは盛んにR2に出ろと言うが、今通っている細道はかつての山陽道(街道)である。しばらくユルユルと進むことにする。この辺りは焼き物の町のようである。左手に小さな石橋が見えて来た。民家の玄関前のような感じだが、生活臭が感じられないので計上しておく。 これは、天津神社参道脇にあったモニュメントで、竹を地面に立て、大小無数の穴をご覧の様に開けただけのものなのだが、これが妙に気になる。
すごい根気のいる作業だと思うが、これまで見たことが無い意匠である。私は迷わず竹だと思ったのだが、まさか、焼き物?なーんてことは、無いよね。
8.野谷橋梁 (中奥里道橋梁) 備前市野谷
レンガアーチ(JR山陽本線)
上郡・三石とレンガアーチ群をずらりとチェックした興奮が冷め切らず、予定外だがさらに西に踏み込んでみる。すると、やっぱりレンガアーチがあるのである。三石で大きく弧を描きJR山陽本線は西へ向きを変える。野谷地区だ。最初のはRCBOX。次がレンガアーチ及び壁石から成る小さなアーチである。同じく北側に焼過レンガ拡幅。アーチを潜った北側壁面は焼過レンガが織り成す文様が実にきれいだ。何となくペルシャ風とでも言おうか、良く考えられている。
9.金谷橋梁 (池の内農作道橋梁) 備前市吉永町金谷
レンガアーチ(JR山陽本線)
気を良くしてさらにもう少しだけ西へ進む。帰宅時間がどんどん遅れるがこうなれば致し方ない。すると300mほども進んだ所でまたまた発見。アーチ基礎部だけ石積みである。レンガアーチはかなり痛んでいる。ちょと理解し難いような崩れ方をしている。せん断力のせいだとは思うが、私の理解の及ばない世界である。同じく北側に焼過レンガ拡幅。
さすがに、本日はここで打ち止め。今日だけで、合計13基も発見。全く想定外の成果である。
14.閑谷学校聖廟前橋 15.閑谷学校閑谷神社前橋
受付で300円也を払い中に入る。直ぐ右手から独特の形をした石垣が山手に伸びて行き、さらに良く見ると山の上の方もぐるりと取り巻いているようだ。結局敷地の周りを一周しているのであろう。何となくミニミニ万里の長城と言えるような雰囲気を持つ。敷地内は下段と上段に分かれていて、上段右手に閑谷神社、左手に聖廟がある。いずれも階段下に小さく桁橋がある。
13.閑谷学校椿山橋
青少年教育センターから北へ進むと椿山と呼ばれる一画がある。ここは、閑谷学校創設者である岡山藩主池田光政の髪・髭・爪・歯を納めた御納所とのこと。椿の木が植えられている事から椿山と呼ぶらしい。
中程、階段の前にちょこんと桁橋がある。階段を登ると独特の形をした御納所がある。石積みは見事。
18.閑谷学校学房跡東橋 19.閑谷学校日除山西橋
その2基の桁橋の上流、火除山の西側にも桁橋がある。さらにその上流左手に学房跡の上段へ向かう階段があり、桁橋がある。
16.閑谷学校火除山前西橋 17.閑谷学校火除山前南橋
桁 / 桁
一番大きな建物である講堂を右手に見て学房跡・資料館の方に進む。直ぐに丸い柴山である火除山がある。その南西角に2基の桁橋が架かっている。この火除山は、西側の日常火を使う学房と講堂とを区切る目的で築かれた人工の丘らしい。
2017.03.25(土)晴 岡山県の平野部は佐賀平野と似ており、標高はゼロに近く、基本的に真っ平ら。川や用水路が網の目のように張り巡らされ、周囲は高い護岸で守られ、至る所、大小の橋だらけ。また、埋め立て地・干拓地には付き物である樋門も数多くある。従って、当然の如く石造りの何某、石橋の存在も多いと言う。今日は、岡山県の東部を流れる吉井川の河口に近い所東側一帯をメインに探索することにする。
20.福生寺霊供養塔前橋 備前市大内
前回と同様、R2を西へ進む。伊部駅の西方にはちょとした池が広がっている。この池の中を新幹線がドーンと走り抜けるのである。かつて、毎月のように新幹線を利用していた時、単調な山陽路の中で何故かここの眺めが印象に残っていた。今日もすさまじい轟音を響かせて西へブッ飛んで行く。その池を過ぎると大内地区である。北側の山手へと登って行く。やがて、谷川を渡る所で左手に霊供養塔と言うのが見えて来る。道路橋の直ぐ上流に立派な石橋が架かっている。
22.石長姫神社参道橋 備前市香登西  かがとにし
桁   いわながひめ
さらにもう少し細道を西へ進むと神社参道入口が現れる。2枚円弧桁橋があった。
25.蕃山の石橋  しげやま 備前市蕃山
桁 x 4
鶴海を後にして、R397岡山ブルーラインに乗り片上大橋を北へ向かう。この岡山ブルーラインだが、かつて大学を卒業後大阪で就職して車を購入すると、大型連休になる度に車で九州の実家へと里帰りをしたもんである。当時、中国縦貫道はまだまだ一部分しか通じておらず、基本的に、阪高・第二神明・加古川バイパス・姫路バイパスを過ぎると後はひたすらR2である。そして、岡山に入ってR2にしばし別れを告げてこのブルーラインを通るのが楽しみだった。当時はブルーハイウェイと呼んでいたと思う。決まってここを通過するのは深夜だったが、信号が無く実に快適だったのを覚えている。そして片上大橋を越える時、周りは見えないのだが、海の上を越えていると言う実感はあった。そのブルーラインをおそらく40年振りぐらいでバイクで走る。非常に感慨深いものがある。今日も90km/h近くで快適に流れる。やがて、蕃山で降り、細道を東へ向かう。山手に入って行くと、奥に老人ホームがある。その東側の大谷川底を見ると、砂防ダムと言うか砂防堰と言うか、はたまた沈下橋と言うか、とにかく石積み構造と4ヶ所の石桁橋が見えている。