13.小田原川橋梁

不破郡関ヶ原町野上

レンガアーチ(JR東海道本線)ねじりまんぽ

興奮冷めやらぬまま穿屋川橋梁を後にして、先ほど気になった所へ向かう。300mも離れていないだろう。やっぱりレンガアーチである。しかも一目でねじりまんぽと分かる。これが小田原川橋梁だろうということで、パイプの上から川底に飛び降り、向こう側に出る。果たして、やっぱり小田原川橋梁である。つまりねじりまんぽが2基並んでいることになる。こちらは先ほどえらく興奮したせいか感動も今一である。現金なものである。穿屋川橋梁に比べるとねじれ方はかなり緩い。斜交角が小さいのか、ややアーチが大きいということもあるのであろう、ねじりまんぽの独特な雰囲気はやや薄い。北側の面は壁面をRCでべったりと塗りつぶしており、それがアーチの上まで及んでいて、本来4重アーチなのだが23重にしか見えない。工事関係者もこういう点は気を効かしてほしいものだ。地図上では小田原川ではなく一之谷川となっている。

2.妙応寺架道橋
レンガアーチ(JR東海道本線)

不破郡関ヶ原町今須

中山道今須宿に下る。どんどん下って行くと、やがて左手に妙応寺入口が大きく広がっている。R21BOXカルバートの向こうに大きなレンガアーチが見えている。手前の中狭川を超えて近づく。おばあさんが2人ぺちゃくちゃしゃべりながら歩いて行く。一人は竹篭をしょっている。何となく感じがいい。いつもはなるべく人を入れないように気をつかっているのだが、こういう場合は逆におばあちゃん達を入れてまずはパチリ。近くで見るとやはり大きい。壁厚が厚いこともあって重厚感溢れる存在だ。北側にRC拡幅。 妙応寺への入口がやや窮屈だ。

1.一丁町橋梁
レンガアーチ(JR東海道本線)

不破郡関ヶ原町今須

柏原宿野瀬橋梁から中山道を東へ進む。県境(寝物語の里)を越えて関ヶ原町域に入る。今須の交差点の200mほど東、R21から見降ろす感じでレンガアーチが見えている。手前のこんもり丘がきれいに雑草が刈られ難なく発見できた。下り坂で結構みんな飛ばしているので草茫々ならあるいは気が付かなかったかもしれない。北側にRCBOX拡幅。壁石平行積み。

3.中狭川橋梁 なかばさみがわ
レンガアーチ(JR東海道本線)
不破郡関ヶ原町今須

妙応寺入口を左折して西へ向かう。直ぐに 中狭川。これも大きい。 妙応寺架道橋よりも大きいかもしれない。壁石平行積み。川底から見上げるとさらに雄大だ。今までの最大級の一つであろう。ちょうど上をコンテナ列車がシャカシャカと単調な音を吐き出しながら長く長く走る。この辺りから東は東海道本線は線路が2本に分かれる。妙応寺架道橋はそのために拡幅されたのだと思うが、この 中狭川橋梁は拡幅も無く正味レンガである。従って広大なレンガアーチ空間が広がる。

4.門前町橋梁
レンガアーチ(JR東海道本線)
不破郡関ヶ原町今須
中山道に戻って東へ。 中狭川を超えて直ぐに小川を越える。RCBOXの向こうにシルエットでアーチが見えている。ここは定かではないがR21部分がRCBOX部でJR部がレンガアーチで両方がくっついて一つに繋がっているという感じである。 壁石平行積み。

悩ましいのは、門前町橋梁を潜ったその先にあるもう1本の上り線用のアーチである。甲門前町橋梁。完全に斜交している。しかし、しかし、やはりRCで塗り固められていて、ねじりまんぽかどうかはこれまた定かではない。本日の2本目なのだが、また空振りか??

5.登里橋梁 不破郡関ヶ原町山中
レンガアーチ(JR東海道本線)

中山道は今須宿を東に抜けると一旦R21と合流し直ぐに北へ分岐する。その先はゆるく下って行く。やがて下り線踏み切りを東へ超えて線路沿いに北へ向かう。100mも行かないうちに左手に小さなレンガアーチ。壁石平行積み。橋名が簡単に確認できたのと藪が深いので目の前だが近づくのは止めた。

6.向太郎川橋梁
レンガアーチ(JR東海道本線)
不破郡関ヶ原町山中

そのさらに先、直ぐの所にも逆光の中レンガアーチがある。壁石平行積み。小路が付随していて、流れの上部分はさながら廃棄物保管場所然としている。その先には小さな山田がある。

7.北谷川橋梁
レンガアーチ(JR東海道本線)
不破郡関ヶ原町山中
さらに下って行く。左手、常盤御前の墓の案内板。ん?常盤御前って誰だったっけ?(義経の母だそうです)そこを素通りすると左手から小川が流れてくる。すかさず左折すると目の前に大きなレンガアーチ。壁石平行積み。これも相当大きい部類に入るであろう。向こう側へ抜けると、午後の日差しをいっぱいに浴びた緑の法面と左隅に小さなアーチ。この辺り線路はかなり高い所を走っている。ここは東海道本線が大きく弧を描く地点で、直ぐ北側は新幹線が走っており、その新幹線は東海道本線の下を潜り、橋を渡り、即トンネルを潜るというあわただしい場所である。銘版では北谷川架道橋となっているが道路の下は北谷川なので架道橋というのはちょとおかしいと思う
8.黒血川橋梁
レンガアーチ(JR東海道本線)
不破郡関ヶ原町山中
新幹線の下を潜ってさらに東へ進むと今度は黒血川という恐ろしいような名前の小川を超える。そこから大きなレンガアーチが見えている。ここも正味レンガアーチで、全面レンガである。壁面には倒れ止め補強の鋼桁が一対設けられている。反対側は湿気が多いのかドロドロと赤錆状態。内部も染み出した液体が至る所白く黒く塗りたくっている。以上のわずかな区間で、今までの最大級に属するレンガアーチがいくつも見つかったことに少し驚いている。15時を過ぎたので本日はここまでで終了。
自宅が近づくにつれて自宅周辺がすごい雷雨に見舞われているのを発見。白やピンクや紫の雷が至る所に落ちる。あまりの恐ろしさにしばし雨宿り。しばらくすると雷がやや西に外れたようなのでバイパスの上を走り始めると、通り過ぎたはずの左真横でびっくりするような落雷。ショックで体が震えるようだ。バイパス上は遮る物が無く生きた心地もしない。次の降り口で降りて再び雨宿り。自宅まで数分なのにジリジリと時が過ぎて行く。
9.了願寺橋梁

不破郡関ヶ原町山中

レンガアーチ(JR東海道本線)
黒血川橋梁の直ぐ東、100mも離れていない、上の方にお寺がある。その西側から細溝が落ちて来ている。当然JRを潜っているはずである。長靴に履き替えて登る。直ぐに小さなレンガアーチが見える。
10.藤古川橋梁

不破郡関ヶ原町藤下

3連レンガアーチ(JR東海道本線)

今日のメインの藤古川橋梁。了願寺橋梁から一旦R21に出て直ぐに渡るのが藤古川である。左下に藤古川橋梁があるはずなのだが、R21の流れがすごいので脇見ができない。緑の法面が見えるのみ。長距離トラックの勢いは恐ろしいほどだ。トラック群をやり過ごしてから橋の左岸下流側の民家の前に降りて見る。犬が律儀に吠える。斜面は急だが、こういう時は植生が味方して難なく滑り落ちる。目の前に広がる光景は、冗談抜きで驚異的な眺めである。何だかこう体中がゾクゾクするような感動が湧き上がってくる。この橋はすばらしい。理屈抜きですばらしい。今まで、橋に限らずさまざまなレンガ構造物を見てきたが、この藤古川橋梁はその規模・雄大さ・雰囲気・風格においてまずダントツのトップであろう。信じられないほどの大きさ、恐ろしいほどの重厚感である。ここは川底から線路面まで相当に高い。アーチ高が約4mだからざっと20mほどであろうか。複線の線路面を支える底面の奥行きは50m近くはあるであろう。レンガ5重アーチ、壁石平行積み、上流側には水切り。洪水時の流況がどの程度のものかは知る由も無いが、欠けたような部分がほとんど見られないことからすると根本的な造りがしっかりしているのであろう。惜しむらくは、南側を走るR21の無粋な鉄橋である。まるでおもちゃであり、このすばらしい眺めを台無しにしている。ちょうど熊本県の霊台橋を取り巻く状況と良く似ている。しかし、それを補ってくれるこの橋の持つ重厚な存在感はとにかくすばらしいの一言。今日は最初から気分がいい。

この後、関ヶ原駅前の観光案内所で、とある学生に出会った。
どこから来たの?  福岡です。
学生さん?     ハイッ!九大です。
エッ!九大!!じゃ私の後輩になるんだ。
エッ!そうなんですか?
私は造船を出ました。もう
30年も昔ですけどね。
そうですか、今は地球・・・だから同じですよ。
アッソォー!じゃ工学部ぅ!
出身は?    熊本です。
熊本のどこ?  南の方です。
南って、八代? いえ、人吉です。
アッそーぉ、人吉なのぉ!私は大分なんですよ。
アッそうなんですかぁ。

ってな訳で観光案内所のおばあさんたちがぞろぞろ出てきて(何故かここにはおばあさんしかいない)、
この人達大学が同じなんだって!
九州からわざわざやって来て同じ大学の人と会うなんてねーェ!うーん、そうそう。

かくして私と学生さんと仲良く並んで関ヶ原ガイドマップの裏にせっせと各武将の家紋スタンプを押したのでした。

今日2度目のいい気分。

11.郷社八幡神社参道橋

不破郡関ヶ原町関ヶ原

関ヶ原駅の直ぐ西側に八幡神社がある。鳥居の前の石灯籠の下にちょこんと桁橋。

15.伊富岐神社参道橋

不破郡関ヶ原町野上

野上の集落の中の中山道をゆるゆると東へ向かう。と、左手にポツンと鳥居と石灯籠がある。縣社伊富岐神社とある。他には神社らしきものは何も無い。目の前には屋根の棟瓦のようなもこっとした物が置かれている。たぶんこれは参道橋なのであろう。

12.穿屋川橋梁

不破郡関ヶ原町野上

レンガアーチ(JR東海道本線)ねじりまんぽ

そしてそして、全く予期せぬ今日3度目の感動。関ヶ原駅の東方で東海道本線は北側を迂回する線とそのまま南宮山の裾野を進む線とに分かれてしまう。直ぐ南側には新幹線も走っていて、さらにはR21もこの辺りではバイパスとの2本立てと合計5本の線が相当にうるさい。もう一つ付け加えるとすれば、これに中山道が追加される。R21本道を東へ向かっていたが、JR法面をもっと落ち着いてゆっくり見られる道を探して、一ツ軒交差点からJRを潜って北側のバイパスに出て大高交差点を東へ向かった。直ぐに法面にアーチらしきものが見える。定かではない。あわてて引き返し法面下を走る小道に入る。直ぐに小川を横切りそのまま先ほどのアーチ様の物の所へ向かいつつ、さっきの小川はJRを潜っているはずだと思い直し、またまた引き返す。すると植生に覆われた小さなレンガアーチを発見。もっと注意を払わなければと思い直す。水量はどうということは無いので長靴を履いてレンガ内部を撮影して終わろうかとも思ったが向こう側が明るいので、行ってみようとなり、手回し懐中電灯を取りにバイクに戻る。そして手回しももどかしくよろよろと中を進む。と、そこには驚きの世界があった。なんと、予期せぬ、ねじりまんぽ、が眠っていたのである。予定ではこの辺りにねじりまんぽの小田原川橋梁があるはずなので、もしかしてこれが小田原川橋梁かもしれないと思い、向こう側に出る。すると穿屋川橋梁とある。ということは新規であることになる。これには藤古川橋梁で感じたのとはまた別の、とうとうやった!!念願のほとんどの人に知られていないねじりまんぽの発見!!という感動である。あわてて、またまたバイクに戻り三脚を持ってくる。ここは実に不思議な造りで、いわゆる両端部は通常のレンガアーチ、中央部だけがねじりまんぽ、となっている。荷重の掛かる中央部だけでいいという発想なのだろうか。それとも複線化の時に簡単のために通常のアーチを足したものであろうか。とにかくねじれ方は相当なもので、最もねじれている部類の一つに入るであろう。内部のレンガはきれいである。ねじりまんぽ部分は両端部のアーチに比べてちょうどレンガの厚み分(3重分)大きなアーチとなっている。ひょっとして、アーチ半径が小さくなるように両端部を継ぎ足せば強度的にも十分であろうという配慮が働いてねじりまんぽにしなかったのかもしれない。それなら少し納得できなくもない。
それにしても何と読むのであろうか。 せんやがわ? うがやがわ?

14.梨子谷橋梁

不破郡関ヶ原町野上

レンガアーチ(JR東海道本線)

小田原川橋梁からものの50mと離れていないだろう、小さな2重レンガアーチがある。梨子谷Bというだけで、橋りょう、という言葉が省略されている。Bということは、少なくともAがあるはずだと思ったがその気配は無い。とにかく法面は圧倒的な植生に覆われていて、よほど注意していなければ気が付かなくてもおかしくない状況だ。この溝は汚い。下水でも流れているのだろうか。さすがに長靴でも降りる気にはなれない。ひょっとして、Bとは、Bridgeのことなのだろうか。

2013.07.16(火)くもり。この3連休は大気が不安定とのことで連日雷雨に悩まされ、とてもじゃないがバイクで遠出する訳には行かず、データ整理に明け暮れ。予報とにらめっこしながらも今日は大丈夫なのではなかろうかと腹をくくり、長浜・米原・関ヶ原地区で、くるま道様発掘の新規レンガアーチ訪問を決行することにした。
16.後洞橋梁

不破郡関ヶ原町玉

レンガアーチ(旧東海道本線)

米原市藤川の重堂川橋梁を後にして、R365を関ヶ原町へと下る。ものの200mで直ぐに県境である。右手に市道が分岐している先は谷筋になっているようである。この辺りは斜面が急で、R365の南西側は垂直壁で降りる所が無い。北東側に回ると薄暗い中に急角度で落ち込む谷溝が見える。近づくと何とか下に降りることができる。ここの石は滑らない。そして石積壁の下に小さなレンガアーチがあった。向こう側は長方形になっている。もう一度南西側に戻ってみると下の方に細道が見える。円通寺まで下って、細道をゆっくりと降りて行く。意外や集落が密集している。上流へ向かうと小さな祠があり、道路壁からはRCBOXが少しだけ突き出している。中を覗くとレンガアーチが見える。床は石畳風である。 径間0.91m、内高約1.6m

18.石畑橋梁

不破郡関ヶ原町野上

レンガアーチ(JR東海道本線)

枇杷掛谷橋梁を後にして、懐かしい関ヶ原の町へと下りて来た。R21は町の北側を走っており、古戦場はその南側に広がっていることになる。三成の陣地があった笹尾山はトンネルで抜けている。さらに下って行き、大高の交差点を過ぎると、右手に、穿屋川橋梁・小田原川橋梁、そして、小さな梨子谷B橋梁の黒い穴が次々と見える。野上地区に石畑橋梁と言うのがあるそうだが、場所が分からない。この野上地区には何本かの小川が流れ下っているので、全部チェックするつもりで、たまたま、マキナとある建物の東側の草道に入ってみる。歩いて法面まで行き、左手に進むと、細溝が斜めに流れ出ている。まず一つ目をチェックと思って覗き込むと、何のことは無い、ここがズバリ・ビンゴである。まるで拍子抜けする思いだが、延々と探し回らなくて良かったと正直ホッとする。床面にもレンガアーチ。上流側へ抜けると近くの民家から犬がけたたましく鳴き始めた。ある程度予想していたが、やはり上流側、つまり中山道沿いの野上集落側からはアプローチはできそうにない。
径間
0.91m、内高は記載忘れ


ちょうどヘルメットの位置にあります

上流側です。 いきなり、生活空間に入ったと言う感じ。 背中に犬の鳴き声が
17.枇杷掛谷橋梁

不破郡関ヶ原町玉

レンガアーチ(旧東海道本線)

後洞橋梁からR365600mほど下った所にも谷筋がある。上流側は薄暗く、何がどうなっているのか良くは分からないので、下流側の市道へと回ってみる。川には降りることはでき、遡って行くと微妙な段差の上にレンガアーチがあった。この段差、流れが無ければどうと言うことは無いが、やはり躊躇してしまう。でも色々試して、結局登ることができた。中には蝙蝠が2匹。上流側へ抜けると、目が慣れたせいもあるが、意外に明るく、谷もそれほど深くは無く、難無くR365へと戻ることができた。 径間2.45m、内高2.45m