2011.07.16（土）晴れ。梅雨明けのドピーカンである。この待ちに待った3連休、東北山形の旅に充てることにした。水と氷とコーヒーを準備して朝6:30に出発。湾岸線から首都高、そしてそのまま東北道に乗り入れひたすら北上する。途中何度も部分的な渋滞に巻き込まれるが、バイクの特権を生かしてスイスイ進む。震災の影響と思われるが路面に微妙なアンジュレーションがあり、至る所で沈下部分を埋め戻した跡が見られ、2輪にとって乗り心地は最悪である。東北道から山形道に、さらに東北中央道へと乗り継ぎ、終点の東根ICまでぴったし6時間、約440km。私はバイクでの高速道平均を70km/hと考えているので、正に読み通りの到達時間である。初めての山形県での石橋探訪の旅が始まることになる。村山市幾代橋・北村山郡土手堰橋梁の後南へ向かう。
１．新橋				上山市楢下　ならげ
石アーチ
大石田町の土手堰橋梁を後にしR13を南下する。このR13、実に快適なスピードで流れる。今夜の宿泊予定地天童もあっという間に通過。かくして1時間後には上山市楢下宿に到着。楢下の郵便局前を過ぎると下り坂の向こうに新橋が見えている。下流側一帯は河川公園風に整備され、その隣には当時の藁葺きの建物が保存されている。昔は宿場町として賑わったことが推察される。長靴でジャブジャブ歩いて行く。水はあまりきれいではない。が、天端の薄い私好みのアーチは立派だ。壁石は切り石だが、一見すると雑然として見えるものの良く見ると大変緻密に積まれていることが分かる。輪石は整然と並べられ隙間なくびっしりと積まれている。見事なものである。
２．硯橋　のぞき				石アーチ
新橋の下流数百mの地点に硯橋はある。まるで新橋のコピー版を見ているようだ。従って、全く同じ印象を持つ。川が大きく蛇行しているために両橋を同じ視野に収めることはできない。
３．堅磐橋　かきわ				上山市川口上河内
石アーチ
硯橋を後にし、R13に出て西へ向かう。直ぐに前川とJRと平行するようになる。その辺りの小さな交差点を左折、前川を南へ渡りその先JRを潜る手前の土手上に出ると正面に2連アーチが飛び込んで来る。逆光だがクリーム色のきれいな2連だ。でも色々見回すもここからは降りる術が無い。結局、先ほどの前川を渡る橋まで戻りR13沿いの細道に入るとやっと到達である。農道みたいな感じであるが、注意しないとこの農道入口には気が付かない。堅磐橋はR13の川口橋とほとんどくっつかんばかりの距離間で、川底に降りるのもその川口橋の基礎と堅磐橋との交点からとなる。水切り形状が独特である。モコモコッと3段に大きな石を積み上げている。流木がからみついているが私の力ではビクともしない。この壁石も2重アーチとも取れる積み方である。石はたぶん加工し易い柔らかい素材だと思われる。輪石も壁石もびっしり隙間無く積まれている。表面にはRCでも塗り付けたような跡が見られるがほとんどは剥げ落ちている。今では人知れずひっそりと佇む2連アーチである。
４．中山橋				上山市中山
石アーチ
この中山橋は迷った。さんざん迷った。頭の中ではこんなはずでは無いと思うのだが、どうも地図と現状とがマッチしない。R13と街並みが一致しないのだ。おそらく地図の更新が間に合っていないのではないかと思う。で、散々迷った挙句、一旦はあきらめて次の吉田橋・小巌橋を先にやっつけて改めて再挑戦である。結果的に全く偶然に出会った。それは中山地区の一番賑やかな通りにあった。特徴のある親柱が目に入らなかったら、つまり北から南に向かっていたのでは下り坂でもあるし全く気が付かないのではないかと思う。幸い、私は戻りで南から北へ向かってゆるゆる進んでいたので右手にある親柱がバッチリ見えた。この橋は立地が非常に窮屈である。橋の下流側は川、上流側は直角に折れ曲がって溝と言う感じである。ガードレールが目の前までせり出し、手が届きそうなのだがこれが実にもどかしい。隣の民家の庭先から降りられそうな雰囲気はあるのだが、憚りがある。松の木も見ようによってはいい感じで垂れ下っているのだが、残念ながら左半分が完全に覆われている。下流側は全くアプローチできない。この橋も2重・3重アーチと取れる積み方である。これって上山の特徴かもしれない。はっきり言って、鹿児島以外でこれほど多重アーチが見られるのは極めて珍しい。一つ一つの輪石は大きい。非常に存在感のある輪石アーチである。私は、このレポートをまとめている現在でもこの中山橋の正確な場所を決め兼ねている状況である。従ってWEB地図はこの辺りと言うことで勘弁してもらいたい。